青春パスタ

“若さ”とはなにものにも代えがたい素晴らしいものだ。若いというだけで可能性は無限に広がり、不可能を可能にする爆発的なエネルギーを生み出すことができる。地球上に存在する全ての人間に平等に与えられた若さは、青春時代と呼ばれ人生で最も華やかで楽しい時期といわれている。しかし、そんな青春時代は若さゆえか失敗が多い時期でもある。
 ここに揚げた写真を見てほしい。真夜中に小腹を空かせた22歳の若者3人が今まさに、パスタを食す瞬間を撮ったものである。
 食いすぎ、明らかに食いすぎである。この3人は小腹を空かせた程度なので100g〜200gあたりで充分足りるはずなのである。しかし、若さとは無謀なもの。青春真っ只中の若者たちはそんな計算はしない。計量器でいちいち計るなんていうみみっちいことはしない。袋を破りダイレクトでお湯の中に入れてかき混ぜる。時間など計らない。信じられるのは自らのカンのみ、自分の実力を過大評価してしまうのもの若者の特徴だ。
 結果は目に見えていた。完全に伸び固まったパスタは健康な若者3人の胃袋を苦しめた。
うめき声をあげ、烏龍茶でパスタを胃袋に流し込むその姿を、青いと言わないでなんと言うだろうか。くだらない、あまりにもくだらなすぎる失敗である。
 しかし、誰一人後悔などしていない。失敗を失敗と思わず笑い飛ばせるパワーを彼らは持っている。青春とは、若さとは、失敗を恐れてはいけない。人生は誰もが初心者である。誰もが未経験である。その中で若者たちは新人の部類に入るだろう。
「新人は新人らしく失敗を恐れず、失敗から学び、思い切りのいいプレーをしてほしいですね」。この前、野球中継を観ていたら野球解説者がこんなことを言っていた。人生もそれと同じ。失敗したらそこで学んで次に生かせばいいのだ。
 写真のパスタを作った3人の若者。実はこれで2回目。同じ失敗を繰り返してしまうのも若さゆえのことではないだろうか。